日本の半導体株:どの企業が何をつくるか
日本の半導体株の多くは、半導体メーカーに装置やシリコンウエハー、化学品を売る企業です。Pacific Tapeの日本マップにある22銘柄のうち、自ら半導体をつくるのは3社だけです。各社の開示資料をもとに、それぞれの役割と今シーズンの決算発表日をまとめました。
日本には半導体をつくる企業は少ないものの、半導体メーカーが頼る企業は数多くあります。 Pacific Tapeの日本マップは、東京証券取引所に上場する半導体株22銘柄を表示しています。 日本の半導体指数の構成銘柄から、半導体を主力事業とする企業を残したものです。 このうち19社は、半導体メーカーに装置や材料を販売しています。 自ら半導体をつくるのは、キオクシア、ルネサスエレクトロニクス、ロームの3社だけです。
2026年10月28日、22銘柄の時価総額は合計7,350億ドルでした。 内訳は装置メーカーが56%、キオクシアが20%、材料メーカーが17%、ルネサスとロームが6%です。
各社はどの工程を担うのか
むき出しのウエハーから完成したパッケージまで、半導体ができる流れに沿って見てみます。
| 工程 | 内容 | 日本マップの企業 |
|---|---|---|
| ウエハー | 高純度のシリコンウエハーをつくる | 信越化学工業、SUMCO |
| パターン形成 | マスクを検査し、感光性の膜を塗布・露光する | レーザーテック(マスク検査)、東京応化工業と信越化学(フォトレジスト)、日産化学(反射防止膜)、東京エレクトロン(塗布・現像) |
| 層の形成 | 膜を成膜・エッチングし、ウエハーを洗浄する | 東京エレクトロン、KOKUSAI ELECTRIC、SCREENホールディングス、JX金属(配線用スパッタリングターゲット) |
| 装置の内部 | 装置が使う部品と制御機器 | 堀場製作所(ガス流量制御)、ローツェ(ウエハー搬送ロボット)、フェローテック(石英、セラミックス、真空シール) |
| ウエハー上の検査 | 切り分ける前に各チップをプロービングする | 東京精密、日本マイクロニクス(プローブカード)、アドバンテスト(テスター) |
| 切断とパッケージング | ウエハーを薄くして切り、チップを封止・実装する | ディスコ、東京精密、住友ベークライト(封止材)、太陽ホールディングス(基板用ソルダーレジスト) |
| チップ | メモリー、マイコン、パワー半導体 | キオクシア、ルネサスエレクトロニクス、ローム |
22社目のデクセリアルズは、ディスプレーやカメラモジュールにチップを実装する接着フィルムをつくっています。 半導体の事業セグメントは持っていません。
装置メーカー
最大手の2社、アドバンテストと東京エレクトロンは 半導体製造装置メーカーの解説で取り上げています。 アドバンテストはテスターを、東京エレクトロンは成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄の装置をつくっています。 残りの企業は、より専門的な分野に特化しています。
- ディスコは、ウエハーをチップに切り分け、薄くするためのダイシングソー、レーザーソー、グラインダー、ポリッシャーと、それらが使うブレードやホイールを販売しています。 2026年3月期の売上高は4,369億円で、すべて精密加工の単一セグメントです。
- レーザーテックは、自社の「EUVマスクブランクス検査装置」を「業界の事実上の標準とみなされている」と説明しています。 2026年6月期の売上高2,305億円のうち、半導体関連製品は1,681億円でした。
- SCREENホールディングスは「世界トップシェアの洗浄装置」を提供しているとしています。 決算説明資料では、ガートナーのデータに基づき、2025年に3種類の洗浄装置で首位としています。 2026年3月期の売上高6,057億円のうち、半導体製造装置は4,860億円でした。
- KOKUSAI ELECTRICは、多数のウエハーを一度に処理するバッチ成膜装置をつくっています。 ガートナーのデータに基づく自社算出で「CY25にバッチ成膜装置市場でトップシェアを獲得した」としています。
- 堀場製作所は、成膜やエッチングで使うガスを計量するマスフローコントローラーをつくっています。 自社調査によるシェアは約60%としています。 2025年の売上高3,331億円のうち、材料・半導体セグメントは1,565億円でした。
- ローツェは、ウエハーをプロセス装置や検査装置へ運ぶロボットや搬送ユニットをつくっています。 2026年2月期の売上高のうち、半導体関連は83%でした。
- 東京精密は「ウエハー上のチップの電気的特性を検査するプロービングマシン、ウエハーから個々のチップを切り分けるダイシングマシン、ウエハーをより薄く平らにするグラインダー」を提供しています。
- 日本マイクロニクスはプローブカードをつくっており、「主にDRAMやフラッシュメモリーのメモリー検査に使われる」としています。
材料メーカー
- 信越化学工業は「半導体の基幹材料であるシリコンウエハーのほか、フォトレジスト、フォトマスクブランクス、封止材料」を生産しています。 2026年3月期の売上高2.57兆円のうち、電子材料セグメントは約40%でした。
- SUMCOは半導体用シリコンウエハーだけをつくっています。 2025年の売上高は4,097億円でした。
- **東京応化工業(TOK)**は、回路パターンを写し取る感光性の膜であるフォトレジストと、高純度化学品をつくっています。 富士キメラ総研のデータを引用し、半導体用フォトレジストで世界トップシェアとしています。
- JX金属は「半導体内部の配線形成に使われる」スパッタリングターゲットをつくっています。 富士経済のデータを引用し、世界シェアを約64%としています。
- 日産化学は、ブルーワーサイエンス(Brewer Science)からのライセンスによるリソグラフィー用反射防止膜と、EUVレジスト用の下層膜をつくっています。
- 住友ベークライトは、チップをパッケージに封止するエポキシ樹脂成形材料をつくっています。 自社調査によるシェアは約40%としています。
- 太陽ホールディングスは、回路基板を保護するインクであるソルダーレジストをつくっています。 同社の取締役会は2026年3月、KKRが出資する会社による公開買い付けに賛同しました。 太陽ホールディングスは10月9日、買い付けは2026年11月下旬ごろに始まる見込みだと発表しました。
- フェローテックは、半導体製造装置向けに石英、セラミックス、真空シールなどの部品を供給しています。 2026年3月期の売上高2,889億円のうち、約1,851億円を占めました。
半導体メーカー
キオクシアはNAND型フラッシュメモリーをつくっています。 同社は「キオクシアは1987年にNAND型フラッシュメモリーを発明した」としています。 四日市工場と北上工場はサンディスク(Sandisk)と共同で運営しています。 2026年3月期の売上収益は2.34兆円でした。 日本国外から見るキオクシアでは東京の株式と米国の預託証券を、 メモリーは誰が何を作るのかではサムスン電子、SKハイニックス、マイクロン、サンディスクと並べて取り上げています。
ルネサスエレクトロニクスは「主にMCU(マイコン)、SoC(システム・オン・チップ)、アナログ半導体、パワー半導体を供給」しています。 2025年の売上収益は1.32兆円で、約半分が自動車向けでした。 ロームは「主にパワー半導体とアナログ半導体に注力」しており、最大の市場は自動車です。 2026年3月期は、炭化ケイ素(SiC)事業での減損などにより、1,584億円の純損失を計上しました。
決算発表はいつか
22社の多くは3月決算で、7〜9月期の決算を10月下旬から11月中旬に発表します。 例外もあります。 堀場製作所、日本マイクロニクス、東京応化工業、SUMCO、ルネサスは12月決算、レーザーテックは6月決算、ローツェは2月決算です。 フェローテックは決算期を3月から12月に変更する途中です。 各社が公表している今シーズンの発表日は次のとおりです。
| 日付 | 企業 |
|---|---|
| 10月29日 | ルネサスエレクトロニクス |
| 10月30日 | 東京エレクトロン、SCREENホールディングス、キオクシア |
| 11月4日 | 東京精密、住友ベークライト |
| 11月5日 | ローム |
| 11月6日 | 太陽ホールディングス |
| 11月9日 | JX金属、日産化学 |
| 11月10日 | 東京応化工業 |
| 11月12日 | 日本マイクロニクス |
| 11月16日 | フェローテック |
ディスコ(10月22日)、信越化学工業(10月27日)、アドバンテスト(10月28日)は発表済みです。
これらの銘柄と指数の関係
2026年9月30日時点で、アドバンテストと東京エレクトロンは日経平均株価(Nikkei 225)の約21%を占めていました。 一方、TOPIXに占める割合は約4%です。 このため、半導体株が2つの指数に与える影響は大きく異なります。 違いは日経225とTOPIXの解説で説明しています。 日本国外からの購入方法は日本の半導体株の買い方をご覧ください。
出典
- What kind of company is DISCO?
- Company profile (November 2025)
- Group Profile 2025
- Consolidated financial report, fiscal year ended March 31, 2026 (May 13, 2026)
- Financial briefing, fiscal year ended March 2026 (May 13, 2026)
- FY2025 results summary (February 17, 2026)
- FY2025 financial briefing (April 9, 2026)
- Integrated Report 2025
- Company overview
- Annual Report 2026, At a Glance
- Consolidated financial results, fiscal year ended March 2026 (April 28, 2026)
- Product lineup
- Integrated Report 2025
- TOK at a glance
- Integrated Report 2026
- Financial results, fiscal year ended March 2026 (May 11, 2026)
- Notice on the tender offer schedule (October 9, 2026)
- Integrated Report 2025
- Annual Securities Report, fiscal 2025
- Earnings report, year ended December 31, 2025
- Financial results, fiscal year ended March 2026
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