SOXX・SMH・SOXQ:3つの半導体ETFはどう違うか
米国の3本のファンドは、どれも半導体株のバスケットを保有し、名前も似ています。ただし連動する指数は3つとも異なり、ルールも違います。そのため、エヌビディア、TSMC、SKハイニックスの比率に差があり、値動きも完全には一致しません。運用会社自身の資料をもとに、それぞれの仕組みを説明します。
SOXX、SMH、SOXQは、半導体株のバスケットを保有する米国の上場投資信託(ETF)です。名前からは同じ市場を対象にしているように見えます。しかし、各ファンドが連動する指数はそれぞれ異なります。指数ごとに、どの企業を採用するか、1社あたりの比率をどこまで認めるかのルールがあります。このルールによって、各ファンドに占めるエヌビディア、TSMC、SKハイニックスの比率が決まります。3本の値動きが完全には一致しない理由もここにあります。
この解説では、運用会社の目論見書、保有銘柄ファイル、指数のルールブックをもとに、各ファンドの仕組みを比較します。比率は日々変わります。以下の数値には、それぞれ基準日を記しています。
3本を並べて比べる
| SOXX | SMH | SOXQ | |
|---|---|---|---|
| 運用会社 | iShares(ブラックロック) | VanEck | Invesco |
| 指数 | NYSE半導体指数(NYSE Semiconductor Index) | MVIS US Listed Semiconductor 25 Index | フィラデルフィア半導体株指数(PHLX Semiconductor Sector Index、SOX) |
| 指数算出会社 | ICE Data Indices | MarketVector Indexes(VanEck傘下) | ナスダック |
| 構成企業数 | 30 | 25 | 30 |
| 比率の上限 | 1銘柄8%。上位5銘柄以外は4% | 1銘柄20%。4.5%を超える銘柄の合計は50%まで | 上位3銘柄はそれぞれ12%、10%、8%。その他は4% |
| ADRの上限 | ADR全体の合計で最大10% | なし | なし |
| 公表年間経費率 | 0.33% | 0.35% | 0.19% |
| 純資産 | 432億ドル(2026年10月23日) | 666億ドル(2026年10月23日) | 24億ドル(2026年5月31日) |
| 設定日 | 2001年7月10日 | 2011年12月20日 | 2021年6月11日 |
3本ともナスダックに上場しています。どの目論見書も、ファンドを「非分散型(non-diversified)」に分類しています。これは、分散型のファンドに比べ、少数の企業に大きな比率で投資できるという意味です。SOXQの純資産は、SECに提出された直近の公開保有銘柄報告書(2026年5月31日付)の数値です。
指数の変遷にも注意が必要です。SOXXは2021年6月20日までSOXに連動していました。目論見書によると、そのベンチマークは「2021年6月20日まではフィラデルフィア半導体株指数、それ以降はNYSE半導体指数の実績を反映」しています。同じ月に設定されたSOXQが、現在SOXに連動しているファンドです。
各指数は構成企業をどう選ぶのか
- NYSE半導体指数(SOXX): ICEの業種分類で半導体に属する米国上場企業のうち、規模の大きい30社です。ADRも含みます。構成銘柄は毎年9月に全面的に見直され、比率は3月、6月、12月に再調整されます。
- MVIS US Listed Semiconductor 25 Index(SMH): 米国上場の半導体企業の上位50社から25社を選びます。新規採用には売上高の50%以上が半導体関連である必要があります(採用継続は25%以上)。構成銘柄は3月と9月に見直され、比率は四半期ごとに再調整されます。
- SOX(SOXQ): 業種分類基準ICB(Industry Classification Benchmark)の半導体と半導体製造装置のサブセクターに属する米国上場企業のうち、規模の大きい30社です。ADRも含みます。ただしADRは、米国の預託銀行が保有する株式分だけが算入されます。構成銘柄は毎年9月に見直され、比率は四半期ごとに再調整されます。
上限の違いが最も大きく表れるのはどこか
上限は、最大級の企業がどこまで比率を伸ばせるかを決めます。SMHのルールでは1銘柄が20%まで認められます。SOXXはどの銘柄も8%に抑えます。再調整の間は株価に応じて比率が動くため、一時的に上限を超える銘柄も出てきます。
各ファンドの比率上位10銘柄は次の通りです。
| 順位 | SOXX(2026年10月22日) | SMH(2026年10月22日) | SOX指数(2026年9月30日) |
|---|---|---|---|
| 1 | AMD 9.22% | エヌビディア 20.92% | エヌビディア 11.35% |
| 2 | エヌビディア 8.21% | TSMC 9.72% | ブロードコム 8.67% |
| 3 | インテル 8.16% | ブロードコム 5.56% | マイクロン 8.13% |
| 4 | マイクロン 7.63% | AMD 5.37% | インテル 4.91% |
| 5 | ブロードコム 7.46% | テキサス・インスツルメンツ 5.29% | AMD 4.75% |
| 6 | テキサス・インスツルメンツ 4.58% | マイクロン 4.59% | マーベル 4.57% |
| 7 | アナログ・デバイセズ 4.55% | アナログ・デバイセズ 4.58% | アプライド・マテリアルズ 4.08% |
| 8 | マーベル 4.51% | ASML 4.48% | KLA 4.06% |
| 9 | クアルコム 4.33% | マーベル 4.40% | TSMC 4.02% |
| 10 | KLA 3.60% | クアルコム 4.06% | アナログ・デバイセズ 4.01% |
SOXXとSMHの列は、各運用会社の日次保有銘柄ファイルによるものです。SOXの列は、ナスダックのファクトシートに載っている指数そのものの比率です。SOXQの保有銘柄は、経費と現金を除けばこの指数に沿っています。
目立つ点が2つあります。エヌビディアはSMHの約5分の1を占めますが、SOXXでは10分の1未満です。また、SOXXではADR全体の合計に10%の上限があるため、TSMCの比率は3.25%にとどまります。こうした上限のないSMHでは9.72%です。
アジアの半導体企業はどこにあるのか
| 企業 | SOXX(10月22日) | SMH(10月22日) | SOX(10月23日の構成銘柄) |
|---|---|---|---|
| TSMC(ADS、TSM) | 3.25% | 9.72% | 採用(9月30日時点で4.02%) |
| SKハイニックス(ADS、SKHY) | 2.62% | 3.66% | 非採用 |
| ASML(オランダ) | 1.50% | 4.48% | 採用 |
| サムスン電子 | 非保有 | 非保有 | 非採用 |
| キオクシア、東京エレクトロン、アドバンテスト | 非保有 | 非保有 | 非採用 |
SKハイニックスのADS(米国預託株式)は2026年7月10日にナスダックで取引が始まりました。3本のうち2本はすでにこれを保有しています。SOXは、毎年の順位付け基準日である7月最終営業日の前に、3カ月の取引実績を求めます。SKハイニックスのADSは、その時点で3週間しか取引されていませんでした。詳しくは SOXの解説記事 で説明しています。サムスン電子は米国に上場していません。キオクシアは米国では店頭取引(KXIAY)のみです。このため、両社ともこれらの指数には入れません。米国の各ティッカーが何を表しているかは Asia Chip Stocks From a US Account で取り上げています。
値動きはどれほど離れるのか
比率が違えば、日々の値動きも違ってきます。セクター全体がそろって上がったり下がったりする日でも同じです。2026年4月2日から10月23日までの米国市場の142営業日について、SOXXのナスダック終値とSOX指数の終値を比べました。
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 4月1日から10月23日までの変化 | SOXX +41.41%、SOX +38.16% |
| 同じ方向に動いて引けた営業日 | 142日中137日 |
| 日々の騰落率の差の平均 | 0.19ポイント |
| 1営業日での最大の差 | 0.73ポイント(8月5日:SOX −1.399%、SOXX −2.124%) |
SOXXの数値はファンドの価格なので、配当は含みません。ここでのSOXも価格指数です。この期間、両者はほぼ毎日そろって動きました。それでも、日々の小さな差が積み重なり、6カ月で約3ポイントの開きになりました。これらの数値は過去の実績です。今後どちらの方向に差が開くかを示すものではありません。
ほかに何が違うのか
- 経費。 公表されている経費率で計算すると、10,000ドルにかかる1年分の経費は、SOXXが約33ドル、SMHが35ドル、SOXQが19ドルです。
- 規模。 表の純資産で見ると、SMHとSOXXはSOXQの何倍もの規模があります。
- 11月の株式分割。 iSharesの目論見書補遺によると、SOXXは1株を3株に分割します。2026年11月3日時点の株主名簿に載っている保有者は、11月4日の終値後に新株を受け取ります。SOXXは11月5日から分割後の価格で取引されます。分割を調整していない株価チャートでは、この日に3分の2の下落が表示されますが、損失ではありません。
市場リポートに出てくる指数名は何を指すのか
市場リポートでいう「SOX」は、SOXQが連動するナスダックの指数のことです。SOXXとSMHは別のバスケットに連動しています。米国の主要な株価指数そのものの仕組みについては Dow, S&P 500 and Nasdaq: What Each US Stock Index Measures をご覧ください。
出典
- iShares Semiconductor ETF (SOXX), fund page and holdings
- iShares Semiconductor ETF summary prospectus (July 31, 2026, with supplements)
- iShares Trust statement of additional information (filed July 27, 2026)
- VanEck Semiconductor ETF (SMH), fund page and holdings
- VanEck Semiconductor ETF fact sheet (September 30, 2026)
- VanEck Semiconductor ETF summary prospectus (February 1, 2026)
- MVIS US Listed Semiconductor 25 Index guide (version 1.04, September 2026)
- Invesco PHLX Semiconductor ETF summary prospectus (Form 497K, December 19, 2025)
- Invesco Exchange-Traded Fund Trust II, Form N-PORT holdings report (May 31, 2026)
- PHLX Semiconductor Sector Index (SOX) methodology
- PHLX Semiconductor Sector Index fact sheet (as of September 30, 2026)
- Weighting for SOX (constituent list, October 23, 2026)
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