日本の信用取引残高データ:キオクシアについて何がわかるか
報道によると、信用取引の建玉がキオクシアの株価を圧迫しています。日本の信用取引残高が何を数えているのかを説明します。東京証券取引所が毎営業日どこに掲載しているのか、2026年10月のキオクシアについて同取引所のファイルが何を示しているのかも取り上げます。
信用取引とは、証券会社から借りた資金や株式で売買することです。「信用取引残高」は、その借り入れのうちまだ返済されていない分を指します。東京証券取引所(東証)は、これを二つの側から数えます。株式の買い付けに使われた借入資金(買い建て)と、市場で売られた借入株式(売り建て)です。2026年9月28日から、東証は全上場銘柄について両方の数字を毎営業日掲載しています。キオクシアホールディングス(285A)について、2026年10月19日時点の東証のファイルは、買残高46,825,200株、売残高1,869,900株を示しています。
以下の数字はすべて、日本取引所グループ(JPX)のウェブサイトに掲載された東証のファイルによるものです。これらは株数と金額であり、株価ではありません。
日本の信用取引とは?
JPXは信用取引を、顧客が委託保証金を差し入れたうえで、証券会社から借りた資金や有価証券を使って行う取引と定義しています。保証金は取引額の30%以上で、最低300,000円が必要です。このため顧客は、保証金の約3倍まで取引できます。損失で保証金が取引額の20%を下回ると、証券会社は追加の差し入れを求めます。建玉は後日、通常は反対売買によって決済されます。
信用取引には2種類あり、顧客は注文時にどちらかを選びます。
| 制度信用 | 一般信用 | |
|---|---|---|
| 対象銘柄 | 東証が選定 | 原則としてすべての上場銘柄 |
| 返済期限 | 最長6か月 | 顧客と証券会社の間で決定 |
| 品貸料 | 東証が公表 | 顧客と証券会社の間で決定 |
| 証券金融会社からの借り入れ | 可能 | 不可 |
制度信用取引では、証券会社は顧客に貸す資金や株式を日本証券金融(JSF)から借りることができます。JSFは東証がこの役割に指定した会社です。JSFは貸し出す株式が不足すると、入札で株式を調達します。その際の費用が品貸料(逆日歩)です。品貸料は、その銘柄の制度信用の売り建てすべてが支払い、制度信用の買い建てすべてが受け取ります。
この市場の中心は個人投資家です。東証自身の概要資料によると、2025年のプライム市場における委託の信用取引のうち、金額ベースで96%を個人投資家が占めました。また、同市場での個人投資家の売買の75%が信用取引でした。
二つの残高は何を意味するのか?
JPXの用語集は、信用取引残高を、買い付けのために借りた資金と売り付けのために借りた株式のうち、まだ返済されていないものと定義しています。東証の英語版ファイルでは、列名は「Outstanding Purchases」(買残高)と「Outstanding Sales」(売残高)です。以下では、それぞれ買い建てと売り建ての残高として扱います。
ファイルは両側それぞれについて、合計、前日からの増減、上場株式数に対する比率、制度信用と一般信用の内訳を示しています。2026年9月の変更以降は、銘柄ごとに金額も載っています。東証の週次の市場全体の表は、金額の合計を約定価格ベースとしています。一方、銘柄別ファイルは算出の基準を明記していません。
信用倍率は東証のファイルには載っていません。これは計算で求める数字です。SMBC日興証券の定義では、株数ベースの買残高を売残高で割ったものです。JPXは「信用取引売買比率」という別の統計を公表しています。これは、1日の売買高のうち新規の信用取引が占める割合です。対象は一部の銘柄に限られ、主に日々公表銘柄や規制銘柄です。10月20日付の版にキオクシアは含まれていませんでした。
誰が、いつデータを公表するのか?
| 公表資料 | 公表者 | 対象 | 時刻(東京時間) |
|---|---|---|---|
| 銘柄別信用取引残高 | 東証 | 全上場銘柄、前営業日分 | 毎営業日16:00ごろ |
| 信用取引現在高 | 東証 | 市場全体の合計(東証と名古屋証券取引所)、前週の最終営業日分 | 週の第2営業日(通常は火曜日)16:00ごろ |
| 日々公表銘柄 | 東証 | 東証またはJSFが指定した銘柄 | 毎営業日16:00ごろ |
| 銘柄別の貸借取引残高 | JSF | JSFによる株式と資金の貸し出し | 速報は19:00ごろ、確報は23:00ごろ |
銘柄別のデータは、以前は週次でした。2026年9月まで、東証は前週の最終営業日分の銘柄別残高を火曜日の16:30ごろに掲載していました。東証は2025年12月15日の通知で、システム更改に伴い全銘柄を日々の公表に移し、金額を追加すると発表しました。2回目の通知で、変更日は2026年9月28日と決まりました。最後の週次ファイルは9月18日分、最初の日次ファイルは9月25日分です。
このため、10月19日分の残高は、10月20日の東京時間16:00ごろ(シンガポール時間15:00)に掲載されました。JPXは各ファイルを「申込み現在」と表示し、取引日の日付を付けています。ページに載るのは最新の5ファイルだけです。
東証によると、日々公表銘柄への指定は、信用取引の利用状況について投資家に注意を促すためのもので、規制措置ではありません。信用取引の利用が過度だと判断した場合、東証は規制を課すことができます。第1段階の例として、保証金率50%(うち現金20%)が挙げられています。10月20日時点で、キオクシアは日々公表銘柄にも信用取引規制の対象にも入っていませんでした。
JSFの銘柄別の貸し出しデータは、JSFを通じた制度信用取引だけを対象にしています。JSFの英語サイトは検索ツールを案内していますが、検索結果は日本語です。
東証のファイルはキオクシアについて何を示しているのか?
キオクシアは、東証のファイルでプライム市場の「貸借銘柄」として表示されています。貸借銘柄は、東証が制度信用取引の対象に選んだ銘柄の一つです。株数ベースの残高は次の通りです。
| 時点(2026年) | 買残高(株) | 売残高(株) | 買残高÷売残高 |
|---|---|---|---|
| 10月1日 | 41,594,900 | 2,597,400 | 16.01 |
| 10月9日 | 44,798,300 | 1,503,400 | 29.80 |
| 10月13日 | 49,502,600 | 913,900 | 54.17 |
| 10月14日 | 49,686,400 | 1,400,800 | 35.47 |
| 10月15日 | 48,805,000 | 1,283,100 | 38.04 |
| 10月16日 | 47,831,100 | 1,536,300 | 31.13 |
| 10月19日 | 46,825,200 | 1,869,900 | 25.04 |
JPXのページには現在、最新の5ファイルしか載っていません。このため、10月1日と10月9日の行は、東証ファイルのアーカイブ版によるものです。買残高は10月1日から10月19日までに12.6%増えました。これらのファイルの中では、10月14日がピークでした。10月19日の買残高は、キオクシアの上場株式数の2.8%に当たります。売残高は0.1%でした。買残高のうち29,564,800株(63.1%)は返済期限が6か月の制度信用で、17,260,400株は一般信用でした。
金額を見ても同じ傾向です。10月15日の買残高の金額は9,209億円でした。ソウル経済新聞は、東証のデータに基づくブルームバーグの報道を引用し、同日の金額を約9,200億円とし、東証上場企業で最大だと伝えました。10月19日付のファイルでは、この金額は8,809億円でした。これより大きい金額の銘柄はありませんでした。ファイルに載る全4,249銘柄の合計6.63兆円の約13%に当たります。
これらは未決済の建玉の数です。ある日に、借りた資金と借りた株式がどれだけその銘柄に入っているかを示します。誰が建玉を持っているのか、いくらで建てたのか、今後どうなるのかは示しません。
1株を3株にする株式分割で数字は変わるのか?
株数については変わります。キオクシアは1株を3株に分割しました。基準日は2026年9月30日、効力発生日は10月1日です。表の行はすべて10月1日以降の日付なので、いずれも分割後のベースです。9月上旬の週次ファイルなど、分割前のファイルの株数ベースの残高は旧株数で数えられています。比較するには3倍してください。金額と買残高・売残高の倍率は調整の必要がありません。株価を同じベースにそろえる方法は、キオクシアの株式分割に関するガイドで説明しています。
最新の数字はどこで確認できるか?
jpx.co.jpの英語ページ「Outstanding Margin Trading by Issue」に、直近5営業日分のPDFが1日1ファイルずつ載っています。キオクシアはコード順で285A0の位置にあり、株数の行と金額の行があります。週次の市場全体の合計は「信用取引現在高」のページに、JSFの貸借取引データはtaisyaku.jpにあります。同じ期間にキオクシアの株価がほかの日本の半導体株と比べてどう動いたかは、日本のマップで確認できます。
出典
- Overview of Margin Transactions
- Purpose and Mechanism of Margin Transactions
- Overview of Margin Trading System (updated September 2026)
- 信用取引残高 (glossary entry on margin balances)
- 制度信用取引 (glossary entry on standardized margin trading)
- Outstanding Margin Trading by Issue
- Outstanding margin trading by issue, as of 2026/10/19 application based
- Outstanding margin trading by issue, as of 2026/10/16 application based
- Outstanding margin trading by issue, as of 2026/10/15 application based
- Outstanding margin trading by issue, as of 2026/10/14 application based
- Outstanding margin trading by issue, as of 2026/10/13 application based
- 銘柄別信用取引残高, 2026/10/9 申込み現在 (archived copy of the TSE file)
- 銘柄別信用取引残高, 2026/10/1 申込み現在 (archived copy of the TSE file)
- 信用取引残高の公表情報の変更について (December 15, 2025; archived copy)
- 信用取引残高の公表情報の変更日及び今後の公表スケジュールについて (July 6, 2026; archived copy)
- 信用取引現在高 (Current Outstanding Margin Trading)
- Current outstanding margin trading, as of 2026/10/16 application based
- Outstanding Margin Trading of Issues Subject to Daily Publication
- 信用取引に関する日々公表等 (issues subject to daily publication; updated October 20, 2026)
- Margin Trading Ratio
- 信用売り残高とは? 信用残高情報から株価を判断する方法
- Loans for Margin Transactions
- Notice Regarding Stock Split and According Partial Amendment to Articles of Incorporation (July 31, 2026)
- Kioxia Shares Fall 63% as Record Margin Debt Weighs on Stock
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