日経225とTOPIX:半導体株で値動きがこれほど違う理由
日本を代表する二つの株価指数は、同じ企業を違う方法で足し合わせています。日経225は株価を数えます。TOPIXは浮動株の時価総額を数えます。だからこそ、二つの半導体株が一方の指数を大きく揺らし、もう一方はほとんど動かさないことがあります。
日本には代表的な株価指数が二つあり、企業の比重の付け方が異なります。日本経済新聞社が算出する日経225は、225銘柄の株価平均型の指数です。株価が高いほど比重が大きくなります。JPX総研が算出するTOPIXは、約1,600銘柄を浮動株の時価総額で加重します。アドバンテストと東京エレクトロンは、前者では大きな比重を、後者では控えめな比重を持ちます。2026年9月30日、二社は日経225の約**21.29%を占めましたが、TOPIXでは3.97%**でした。 二社が動くと、日経225も一緒に動きます。
以下の株価は東京証券取引所の終値です。指数の水準は日経225(日本経済新聞社)です。
日経225はどう計算されるのか
日本経済新聞社の指数に関する公表資料から、仕組みがわかります。
- 各構成銘柄は、株価に株価換算係数を掛けた値で数えられます。係数は銘柄の採用時に日経が公表し、構成銘柄が株式分割をすると改定されます。
- 指数は、換算後の株価の合計を除数で割ったものです。日経は構成銘柄の入れ替えや係数の改定があると除数を変更し、新しい値をその都度公表します。
構成銘柄は春と秋の定期見直しで入れ替わります。2026年の日経の公表内容は4月1日と10月1日に適用されました。各銘柄の採用理由は、時価総額ではなく、売買の流動性や七つの大まかなセクター間の構成銘柄のバランスで説明されています。
なぜアドバンテストと東京エレクトロンの比重が大きいのか
ある銘柄の比重は、その換算後株価を全銘柄の換算後株価の合計で割ったものです。この合計は、指数の水準に除数を掛けた値に等しくなります。日経が公表した係数と除数を使えば、比重を算出できます。2026年9月30日の数字は次の通りです。
- アドバンテストの終値は34,260円、キャップ後の係数は7.2でした。
- 日経225の終値は66,753.72、除数は29.83073565でした。
- 34,260 × 7.2 ÷ (66,753.72 × 29.83073565) = 12.39%。
同じ計算で、東京エレクトロン(11,815円 × 15)は8.90%、キオクシア(18,095円 × 2.1)は**1.91%**になります。
東京エレクトロンの係数が大きいのは株式分割のためです。2026年9月29日を権利落ち日とする1:5の株式分割に合わせ、日経は同社の株価換算係数を3から15に引き上げました。1株が5株になったため、換算後株価の水準を保つよう係数を5倍にしたのです。
TOPIXと並べると、差は大きくなります。下表の日経225の数字は上記の方法で計算したものです。TOPIXの数字はJPXが公表した比重で、公表のスケジュールは別です。
| 企業(コード) | 日経225、9月30日(計算値) | TOPIX、8月31日(JPX) |
|---|---|---|
| アドバンテスト(6857) | 12.39% | 1.7507% |
| 東京エレクトロン(8035) | 8.90% | 2.0458% |
| キオクシアホールディングス(285A) | 1.91% | 0.5308% |
同じく日本のマップに載っているKOKUSAI ELECTRICとJX金属は、10月1日に日経225に採用されました。
TOPIXは同じ企業をどう加重するのか
JPXはTOPIXを、浮動株調整後の時価総額加重型の指数と説明しています。1968年1月4日を100ポイントとしています。銘柄の比重は株価ではなく、浮動株の時価総額に従います。
JPXのファクトシートによると、2026年9月30日時点でTOPIXの構成銘柄は1,636でした。最大の三菱UFJフィナンシャル・グループは4.02%でした。東京エレクトロン(2.17%)とアドバンテスト(1.80%)は6位と10位でした。TOPIXにも10%の比重上限があり、年1回、10月の最終営業日に設定されます。
TOPIXは見直しが進んでいます。2026年10月1日付のJPXのガイドブックでは、構成銘柄は東京証券取引所の三つの市場(プライム、スタンダード、グロース)すべてから選ばれ、年1回見直されます。最初の定期見直しは2026年10月30日に適用されます。35銘柄が追加され、継続基準を満たさなかった構成銘柄は、2028年7月までの最大8回の四半期ごとの段階で除外されます。
10月、半導体株はそれぞれの指数をどれだけ動かしたか
日経225では、ある銘柄が1円動くと、指数は係数÷除数の分だけ動きます。10月1日以降の除数は29.66435840、アドバンテストのキャップ後の係数は6.4です。したがって1円の値動きは、アドバンテストで6.4 ÷ 29.66435840 = 約0.2157指数ポイント、東京エレクトロン(係数15)で0.5057、キオクシア(係数2.1)で0.0708に相当します。
10月15日の計算例:
- アドバンテストは40,380円から34,340円に下落(−14.96%):−6,040 × 6.4 ÷ 29.66435840 = −1,303.1ポイント。
- 東京エレクトロンは11,240円から10,365円に下落(−7.78%):−875 × 15 ÷ 29.66435840 = −442.5ポイント。
- 日経225は67,744.29から64,425.95に下落:−3,318.34ポイント(−4.90%)。
二銘柄で1,745.6ポイント、この日の下落の約53%を占めます。キオクシア(14,690円から12,880円、−12.32%)がさらに−128.1を加えました。
ここではTOPIXの水準は示していません。参考として、表ではNEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(1306)を使います。東京証券取引所に上場するETFで、ベンチマークはTOPIX(配当込み)です。指数そのものではなくファンドの価格なので、日々の騰落率はTOPIXの近似にとどまります。
| 日付 | 日経225 | アドバンテスト+東京エレクトロン(日経225ポイント) | TOPIX ETF(1306) |
|---|---|---|---|
| 10月5日 | +1,637.40 (+2.40%) | +696.6 | +1.42% |
| 10月15日 | −3,318.34 (−4.90%) | −1,745.6 | −2.39% |
| 10月16日 | +898.34 (+1.39%) | +175.0 | +1.76% |
| 10月20日 | −841.28 (−1.30%) | −259.1 | −1.24% |
10月15日、日経225の下落幅はETFの約2倍でした。アドバンテストが0.55%しか上がらなかった10月16日は、ETFの上昇率が日経225を上回りました。TOPIX側の大まかな目安としては、各比重に騰落率を掛けます。9月30日のファクトシートの比重で計算すると、10月15日のアドバンテストの−14.96%はTOPIXの約−0.27ポイント(パーセンテージポイント)、東京エレクトロンの−7.78%は約−0.17に相当します。
日経は銘柄の比重に上限を設けていないのか
設けています。ただし定期見直しの時だけです。日経の公表資料では、比重の上限の閾値は10%です。見直しの基準日(春の見直しは1月末、秋の見直しは7月末)にこれを超える構成銘柄にはキャップ調整比率が適用され、「キャップ後の株価換算係数」が指数に使われます。
日経は2026年4月1日からアドバンテストに0.9のキャップ調整比率を適用し、係数を8から7.2に引き下げました。 7月末時点でもアドバンテストが10%を超えていたため、10月1日に比率は0.8に、係数は6.4に下がりました。同日の三つの構成銘柄変更(KOKUSAI ELECTRIC、JX金属、カプコンの採用)と合わせ、除数は29.83073565から29.66435840に下がりました。
見直しと見直しの間は、比重は株価に応じて変動します。同じ算式で、10月14日終値時点のアドバンテストの比重は40,380 × 6.4 ÷ (67,744.29 × 29.66435840) ≈ **12.86%**でした。
キオクシアの株式分割で日経225での位置はどう変わったか
比重は変わりませんでした。キオクシアホールディングスは2026年4月1日に株価換算係数0.7で日経225に採用されました。2026年9月29日を権利落ち日とする1株を3株にする分割に合わせ、日経は係数を2.1に引き上げました。株価は約3分の1になり、係数は3倍になったため、キオクシアの換算後株価は同じままでした。分割をまたいだキオクシアの株価推移の読み方は、キオクシアの株式分割の解説で取り上げています。
東京の終値がソウル、台北、ニューヨークとどう並ぶかは、四つの終値、一つの日をご覧ください。
出典
- Regarding the Capping Ratio of Advantest in Nikkei 225 (January 30, 2026)
- Changes to the Nikkei Stock Average (March 5, 2026)
- Regarding the Capping Ratio of Advantest in Nikkei 225 (July 31, 2026)
- Changes to the Nikkei Stock Average (September 4, 2026)
- Nikkei 225's Divisor to Fall to 29.83073565 (September 29, 2026)
- Nikkei 225's Divisor to Fall to 29.66435840 (September 30, 2026)
- TOPIX (TPX)
- TSE Index Guidebook (TOPIX), October 1, 2026
- TOPIX factsheet (September 30, 2026)
- TOPIX component stocks weight (as of August 31, 2026)
- Results of the First Periodic Review and Constituent Issues of TOPIX (October 7, 2026)
- NEXT FUNDS TOPIX Exchange Traded Fund (1306)
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