米国半導体株が反発、AI主力株ほど戻りは小さく
2026年11月6日(米国時間)、米国の半導体ETFであるSOXXは3.51%上昇しました。前日には12%を超えて下落していました。大手半導体8銘柄は、木曜の下落分の平均36%を取り戻しました。ただ、その割合は銘柄によって6%から67%までの幅がありました。いずれの銘柄も取引時間中に大きく上昇しました。そしてAIデータセンターに近い銘柄ほど、午後にその上昇分を多く失いました。
8銘柄の成績表:木曜の下落分をどれだけ取り戻したか
以下の数字は、木曜の騰落率、金曜の騰落率、取り戻した割合の順です。
- インテル:-10.33%、+7.71%、67%
- AMD:-17.26%、+11.04%、53%
- クアルコム:-9.49%、+5.52%、53%
- Arm:-13.08%、+4.74%、31%
- マーベル:-16.43%、+5.73%、29%
- エヌビディア:-9.26%、+2.78%、27%
- マイクロン:-17.46%、+5.12%、24%
- ブロードコム:-10.43%、+0.74%、6%
取り戻した割合は、金曜の上昇幅(ドル)を木曜の下落幅(ドル)で割ったものです。金曜の上昇率は、すでに下がった株価にかかります。そのため、騰落率同士で割ると戻りを大きく見積もってしまいます。インテルの場合、騰落率で計算すると75%ですが、ドル建てでは67%です。8銘柄の単純平均は36%です。
AIの主力銘柄ほど戻りが小さかった理由
取引時間中の高値では、どれも半分前後を取り戻していた
金曜の取引時間中の高値で見ると、8銘柄はいずれも下落分の43%から84%を取り戻していました。ブロードコムでさえ6.7%高で寄り付き、一時は59%を取り戻していました。
差がついたのは、終値までにどれだけ上昇分を保てたかです。取引時間中の高値から終値までに、ブロードコムは5.7%、マイクロンは4.8%、エヌビディアは4.2%下げました。これはインテル(1.8%)、クアルコム(1.2%)、AMD(2.3%)の下げ幅の2〜3倍です。
最も下げた3銘柄は、売上高の多くをAIデータセンターに頼る
ブロードコムの主力事業は、大手テック企業向けのカスタムAIチップです。マイクロンはAIサーバー向けのメモリー(HBM、高帯域幅メモリー)、エヌビディアはAIアクセラレーター(GPU)が主力です。今回の急落は、米国の中間選挙後にAIデータセンター建設への規制が強まるのではないかという懸念から始まりました。その懸念は1日では解消されませんでした。そのため、データセンターに最も近い銘柄から先に再び売り圧力を受けたとみられます。これは取引時間中の値動きに基づくBinucleの解釈です。
インテルはすでに大きく下げていた
インテルは10月28日から11月5日までに45.3%下落しました。この中には、10月30日の決算発表後の1日で28.58%の下落も含まれます。11月4日の引け後に発表されたクアルコムの決算では、携帯端末向けチップの売上高が26%減り、市場予想を下回りました(ロイター)。両社とも、データセンターへの懸念より前に、それぞれの個別要因が株価に織り込まれていました。木曜の下落率も10%前後と小さく、その分取り戻しやすかったといえます。
1日の反発で急落は終わったのか
週間ではまだマイナス
金曜の反発にもかかわらず、週間ではS&P 500が2.7%、ナスダック総合指数が3.4%下落しました。主要3指数はいずれも4週連続の下落となりました(UPI)。SOXXの終値は136.53ドルで、10月5日の高値196.50ドルを30.5%下回っています。
金利も引き続き要因に
同じ日に発表された10月の雇用者数は16万5,000人増えました。ブルームバーグがまとめた市場予想の約6万5,000人を大きく上回りました。米10年国債利回りは4.86%に上昇しました。強い雇用統計は、FRBが追加利上げに動くとの見方を強めます。これはハイテク株の重しになります。
自分の保有銘柄に当てはめるチェックリスト
- 保有する半導体株は、取引時間中の高値から終値までにどれだけ下げたか。
- 各社の売上高のうち、AIデータセンター向けはどれくらいの割合か。
- その企業に固有の悪材料(決算や業績見通し)があったのか、それともセクター全体への懸念だったのか。
本稿の数字は、2026年11月6日の米国株通常取引の終値に基づいています。本稿は特定の銘柄や商品についての投資助言ではありません。
よくある質問
Q1. 損失を取り戻すには、株価はどれだけ上がる必要がありますか。
A1. 下落率より大きな上昇が必要です。10%下がった後は約11.1%の上昇が必要です。17.46%下げたマイクロンは、元に戻るまでに21.2%の上昇が必要です。
Q2. 半導体ETFは個別株より値動きが小さいのですか。
A2. 1社の悪材料の影響は小さくなります。しかしセクター全体が下げた木曜には、SOXXも12.15%下落しました。銘柄の分散とセクターの分散は別のものです。
Q3. 今回の下落で、エヌビディアは年初の水準を下回りましたか。
A3. 11月6日の終値186.64ドルは、2025年最終営業日の終値(186.06ドル)を0.3%上回っています。事実上、年初とほぼ同じ水準に戻ったことになります。
出典:米国株通常取引の終値。トップ画像:pacifictape.com SOXマップ。米国株通常取引の始値と取引時間中の高値。ロイター(クアルコム決算、2026年11月4日)。米労働省(10月の雇用統計)。ブルームバーグ(雇用者数の予想)。ロイター、UPI(主要指数の週間騰落)
情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。